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停電が復旧した、その瞬間に火事が起きる——これを「通電火災」と言います。地震や台風のときは、停電そのものより電気が戻ったときのほうが危ないことを、ご存じでしょうか。
私は消防の現場に20年立ってきました。停電中にポータブル電源で家電を動かす家庭も増えましたが、使い方をひとつ間違えると、感電や火災につながります。
この記事では、「停電したらまず何をするか」「停電中にポータブル電源(EcoFlow DELTA 2)で家電を安全に動かす方法」「電気が復旧したときの正しい手順」「通電火災の防ぎ方」を、現場の視点で順番に解説します。
停電が復旧したときに火事って、どういうこと?ブレーカーは落としておいた方がいいの?
電気が戻る瞬間に、倒れた暖房器具や傷ついた配線から出火するのが通電火災です。順番を知っておけば防げます。一緒に確認していきましょう。
通電火災とは?停電復旧時に起きる「見えない火事」
通電火災とは、地震や台風などで止まった電気が復旧したときに発生する火災のことです。代表的な原因は次の3つです。
- 地震で倒れた電気ストーブやヒーターに、通電と同時に火が入り、近くの布や紙に着火する
- 傷ついた電気コードや、水に濡れたコンセントがショートして発火する
- 停電中も電源が入ったままだった家電が、無人の部屋で過熱する
内閣府や消防庁の報告によると、大地震に伴う火災の多くは電気が原因です。阪神・淡路大震災では、原因が判明した火災139件のうち約6割にあたる85件が電気による火災でした。東日本大震災でも、地震火災108件のうち約5割強の58件が電気を原因とする火災です(出典:内閣府防災情報・消防庁)。停電は「電気が使えない不便」ですが、復旧の瞬間は「出火のリスク」に変わるのです。
こわい…。じゃあ停電になったら、まず何をすればいいの?
停電したら、まず何をする?(初動)
停電した直後にやるべきことは、「発熱する家電を止める」ことです。火元になりやすいのは、次のような家電です。
- 電気ストーブ・電気ヒーター
- アイロン・ヘアアイロン・ドライヤー
- 電気こんろ・トースターなどの調理家電
これらはスイッチを切り、コンセントからプラグを抜いておきます。通電が戻ったときに勝手に作動し、倒れた状態のまま発熱するのを防ぐためです。
そして家を離れて避難するときは、分電盤の主幹ブレーカー(いちばん大きいスイッチ)を落とします。無人の家で通電が再開しても、火災を防げます。
● ここがポイント
冷蔵庫やルーターまで全部抜く必要はありません。火元になりやすい「発熱系」だけを確実に止めるのがコツです。
停電中、ポータブル電源(DELTA 2)で家電を安全に使う方法
停電が長引くと、冷蔵庫やスマホの充電、扇風機などをポータブル電源で動かしたくなります。私自身、停電時にEcoFlow DELTA 2で冷蔵庫をつなぎ続け、家族を守ってきました。ただし、安全に使うための大原則があります。
① 家電は「直結」で使う(分電盤にはつながない)
ポータブル電源は、使いたい家電のプラグを本体に直接挿して使います。「家全体に電気を回そう」として分電盤や壁のコンセントにつなぐ使い方は、絶対にしてはいけません。1台のポータブル電源は、あくまで「独立した電源の島」として使うのが正解です。
② 壁のコンセントへの逆流(バックフィード)は絶対にしない
ポータブル電源の電気を、壁のコンセントから家の配線に流し込む「バックフィード」という危険な使い方があります。これは感電や火災の原因になるだけでなく、停電を復旧させる電力会社の作業員の命にも関わります。絶対にやめてください。家全体に給電したい場合は、必ず電気工事店による専用の切替設備の設置が必要です。
③ 主幹ブレーカーを落としていてもDELTA 2は使える
「ブレーカーを落としたら、ポータブル電源も使えないのでは?」と思われがちですが、家電を直結で使うかぎり、ブレーカーの状態は関係ありません。むしろ通電火災を防ぐため、ブレーカーは落としたまま、DELTA 2から直結で使うのが安全です。
④ DELTA 2で家電はどれくらい動く?
容量1024Whのモデルを目安にすると、停電時に動かせる家電のイメージは次のとおりです(機種や使い方で変わります)。
- 冷蔵庫(約100W):断続運転で約10時間前後
- スマートフォン充電:約60〜80回
- 扇風機(約30W):約30時間
- LEDライト・ルーター:数十時間
「停電中に、子どものミルクと冷蔵庫だけは守りたい」——そんな最低限を支えられるのが、この容量帯です。実際に2年使って何時間動いたかの検証は、次の記事にまとめています。
「家中に電気を回す」のではなく「必要な家電に直接つなぐ」。これだけ守れば、ポータブル電源は停電時の心強い味方になります。
電気が復旧したときの「正しい順番」
ここが、通電火災を防ぐ最大のポイントです。電気が戻ったら、慌てずに次の順番で確認してください。
- 安全確認:ガスのにおいがしないか、配線やコンセントが焦げたり水に濡れたりしていないか、家の中を見て回る
- 発熱系家電のプラグを確認:ストーブ・アイロンなどが倒れていないか、抜いてあるかを確かめる
- 主幹ブレーカーを入れる
- 分電盤の子ブレーカーを1つずつ入れる:一気に全部入れない。1つ入れるごとに、焦げ臭や火花などの異常がないか確認する
- 家電を1台ずつ電源を入れる
少しでもガス臭や焦げ臭、配線の損傷があれば、ブレーカーを入れずに、電力会社や消防に連絡してください。
⚠ 水害で水に浸かった家電・配線は要注意
見た目が乾いていても、内部でショートして発火する恐れがあります。水に浸かった家電やコンセントは、通電する前に必ず点検を受けてください。
通電火災を「自動で」防ぐ:感震ブレーカー
避難のときに、とっさにブレーカーを落とせないこともあります。そこで有効なのが「感震ブレーカー」です。一定以上の揺れを感知すると、自動で電気を遮断してくれます。消防庁も、地震対策のひとつとして設置をすすめています。
本格的な分電盤一体型から、数千円で取り付けられる簡易タイプ(おもり式・バネ式)まであります。まずは簡易タイプから始めるだけでも、通電火災のリスクは大きく下げられます。「ブレーカーを落とし忘れても大丈夫」という安心が、家族を守ります。
よくある質問
Q. 停電したら、ブレーカーは落とすべき?
A. 短時間で復旧しそうで、在宅しているなら、発熱系の家電を止めれば必須ではありません。ただし、家を離れて避難するときは、必ず主幹ブレーカーを落としてください。
Q. ポータブル電源を壁コンセントにつないで、家全体に電気を回せる?
A. できません。「バックフィード」といって、感電・火災・作業員の事故につながる危険な行為です。家電は必ず本体に直結して使ってください。
Q. 電気が復旧した後は、特に何もしなくていい?
A. 「安全確認 → 主幹 → 子ブレーカーを1つずつ → 家電を1台ずつ」の順で確認してください。焦げ臭やガス臭があれば、通電せずに連絡を。
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まとめ:怖いのは「停電」ではなく「電気が戻る瞬間」
停電は「電気が使えない時間」ですが、本当に気をつけるべきは電気が戻る瞬間です。倒れた家電や傷ついた配線に、通電と同時に火が入る——それが通電火災です。
防ぐためにやることは、シンプルです。避難前に発熱系を止めてブレーカーを落とす。復旧時は順番を守って確認する。そして感震ブレーカーで「落とし忘れ」に備える。
停電中の電源確保は、ポータブル電源を「直結」で安全に使えば、家族の安心につながります。知識は現場から持ってきました。でも、日々の備えを続けることは、読者のみなさんと一緒です。今日できる1つから、一緒に始めていきましょう。
それではっ!


