「お父さん、地震ってこわいの?」
ある日、子どもにそう聞かれたとき、一瞬、言葉が出なかった。
怖いと言えば余計に不安にさせる。大丈夫と言えば嘘になる。20年の消防経験の中で、緊急消防援助隊として何度か被災地に派遣された自分が、我が子の一言に詰まった。
その瞬間に気づいた。知識を持っているだけでは、子どもには伝わらないんだと。
この記事では、元消防士の父親として、我が子と実際に取り組んできた「子どもへの防災の教え方」を、年齢段階ごとに書いていきます。難しいことは一つもありません。今日から始められることだけを書きます。
子どもに防災を教えるって、何歳からやるの?難しくない?
難しく考えんでええ。年齢ごとにやり方を変えるだけや。今日から始められることだけ書いてるで。
学校任せでは足りない——現場20年で見えてきたこと
正直に言います。学校の防災教育は、「知識」を教えることはできます。でも、「行動」を体に染み込ませることは、家庭にしかできません。
学校の避難訓練では、子どもは「先生の指示に従う」ことを学びます。でも、家で一人でいるとき、親とはぐれたとき——子どもは自分で判断しなければなりません。
その瞬間に動けるかどうかは、日常の中で「体に覚えさせているか」で決まります。
今の自分の家でそれが完全にできているかと言えば、正直まだまだです。だから、読者のみなさんと一緒に積み上げていきたいと思っています。
📌 この記事で伝えること
✅ 幼児期(〜5歳):怖がらせず、体で覚えさせる方法
✅ 小学校低学年(6〜8歳):一緒に「防災リュック」を作る
✅ 小学校高学年(9〜12歳):「もしもの約束」を家族で決める
✅ 消防士が「これだけは教えて」という3つのこと
✅ 防災を「楽しいもの」にする具体的な方法
年齢別「子どもへの防災の教え方」
幼児期(〜5歳):ゲームで「体に覚えさせる」
この時期の子どもに「防災とは何か」を言葉で説明しても伝わりません。でも、体で覚えることはできます。
おすすめは「地震ゲーム」です。
突然「地震!」と声をかけて、子どもが机の下や安全な場所に逃げたら思い切り褒める。怖い雰囲気を一切出さず、遊びの延長として繰り返す——ただそれだけです。
ポイントは「怖い」ではなく「かっこいい」こと。「地震が来たとき、どこに逃げたら一番かっこいいか?」という問いかけが、子どもの行動力を引き出します。
⚠️ この時期に絶対NG
恐怖心を使って行動させようとすること。「地震が来たら怖いよ」「死ぬかもしれないよ」という言葉は、恐怖反応(固まる・泣く)を引き起こし、実際の災害時に逃げられなくなります。恐怖心が先に立つと、体は動かなくなります。これは大人も子どもも同じで、過度な恐怖は「固まる」反応を引き起こします。だから、怖がらせる教え方は逆効果なのです。
小学校低学年(6〜8歳):一緒に「防災リュック」を作る
この時期になると、物の意味が理解できるようになります。だから「自分のリュック」を一緒に作ることが最も効果的です。
大事なのは、子ども自身に選ばせること。親が一方的に中身を決めてしまわないでください。子どもが選んだものが入っているリュックは、子どもが「自分のもの」として責任を持ちます。
✅ 一緒に防災リュックを作る手順
① まずは子どもに「何が必要か」を自由に選ばせる
② 「なんで水が必要なの?」と理由を一緒に考える
③ 最後に1〜2個、本当に大事なアイテムを追加する(笛・水・懐中電灯)
答えを「教える」のではなく、一緒に「考える」こと。この違いが、実際の行動力につながります。
子どもが「お菓子を入れたい」とか言ったらどうするの?
ええと思うで!「被災したときに、好きなお菓子があったら気持ちが楽になるな」ってリアルな話やし。完全に否定したら、防災への興味自体が消えてしまう。
小学校高学年(9〜12歳):「もしもの約束」を家族で決める
この時期は論理的思考が発達します。だから「家族会議」ができるようになります。
決めておくべき「もしもの約束」は3つです。
✅ 家族で決めておく「もしもの約束」
① 集合場所を2か所決める(近く:学校・公園 / 遠く:駅・図書館など)
② 連絡が取れないときはどこで待つかを決める
③ 「災害用伝言ダイヤル(171)」の使い方を一緒に練習しておく
この「約束」があることで、子どもは「お父さん・お母さんに会える」という安心感を持てます。その安心感が、パニックを防ぐ最大の備えになります。
年に1回、防災の日(9月1日)前後に「約束を確認する家族会議」をする習慣を作るのがおすすめです。
消防士が「これだけは教えておいて」という3つのこと
20年の現場経験から、子どもに特に伝えてほしいことが3つあります。
🚒 消防士として伝えたい、子どもへの3つの教え
① 煙の中では必ず「低い姿勢」で動く
煙は上に溜まります。火事のとき、直立したまま動くと数秒で意識を失います。「煙が出たら、ハイハイで逃げる」を体で覚えさせてください。
② 津波は「揺れながら」逃げ始める
「揺れが収まってから」では遅すぎます。大きな揺れを感じた瞬間に、高台へ逃げ始める。この判断が、命の分かれ目になります。
③「一人で逃げていい」と伝えておく
親と一緒にいないとき、学校でも習い事でも地震は起きます。「待たなくていい。自分で逃げていい」と明確に伝えておくことが、子どもの命を守ります。
防災を「楽しいもの」にする——怖がらせると逆効果
防災教育に、一つ大事な落とし穴があります。防災を「怖いもの」として伝えると、実際の災害時にパニックになりやすい。
逆に、防災を「遊び」や「冒険」として体験している子どもは、落ち着いて行動できます。
おすすめは「停電ごっこ」です。
停電を想定して電気を消し、家の中でキャンプ気分。懐中電灯だけで夕食を食べる。そこにEcoFlow DELTA 2のような大容量バッテリーがあれば、ホットプレートで温かい料理も作れます。「防災グッズってすごい」「これがあれば怖くない」——そう思わせることが、本当の防災教育です。
💡 車中泊も最高の防災訓練になる
実は車中泊は、親子で楽しめる最高の防災訓練です。家を離れて、限られた道具で一晩過ごす体験は、「もしも」のときの感覚を自然に育ててくれます。子どもにとっては「冒険」であり、親にとっては「備えの確認」になります。楽しみながら備える——これがこのブログの軸です。
防災って「やらなきゃいけない義務」じゃなくて、「家族と楽しむもの」にできるんだね。
その通りです。「楽しい」と思えるかどうかが、続けられるかどうかの全てです。義務感でやる防災は、絶対に長続きしません。
まとめ——今日から始める「1つだけ」
防災教育を完璧にやろうとしなくていいです。
今日から始める「1つだけ」を決めてください。
「夕食のとき、集合場所を一つ決める」——それだけでいい。
被災地で私が聞いてきた言葉の中で、最も多かったのは「わかってたのに、何もしていなかった」です。知っていても、やっていなければ意味がない。
年齢に関係なく、今日できることは必ずあります。まずは一つ。子どもと一緒に「もしものとき、どこに逃げるか」を話してみてください。
それがあなたの家族の命をつなぐ、最初の一本の糸になります。
備えずに後悔するな。備えてから後悔しろ。
それではっ!

