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「11月2日に緊急要請って、何か起きるの?」「うちは何をすればいいの?」——ニュースを見て、そう思った方が多いはずです。
先にお伝えします。これは特定の災害の予告ではありません。11月2日に発足した防災庁が、ふだんの備えを呼びかけたものです。
この記事では、元消防士・救急救命士の私が、防災庁が出した正式な文章をもとに整理し、家族の人数ごとに「何をどれだけ」そろえるかを早見表にしました。買いに走る前に、まず読んでください。
✅ 先に結論
- 何か起きるの?→ 細野大臣は「地震などの災害の予知情報が入っていることを契機とするものではありません」と説明しています
- 何を求められるの?→ 水・食料・携帯トイレを少なくとも3日分、できれば1週間分。あわせて耐震診断と家具の固定、ハザードマップと避難経路の確認、非常持ち出し品、防災訓練
- 4人家族なら?→ 3日分で水36L・36食・トイレ60回分。1週間分で水84L・84食・トイレ140回分
- 今夜やること→ 買いに走る前に、家にある物を数える。足りない分だけ、ふだんの買い物で足す
※11月2日に防災庁が出した正式な文章(防災庁「事前防災徹底のための緊急要請」)で確かめて、内容を更新しました。
「緊急」って聞くと怖いよ。何か起きるってこと?
予告ではありません。防災庁の発足に合わせて、ふだんの備えをお願いする呼びかけです。慌てなくて大丈夫です。今夜は家にある物を数えるところから始めましょう。
11月2日の緊急要請とは?正式な文章に書かれていること
緊急要請は、11月2日に発足した防災庁が、発足初日に出した呼びかけです。防災大臣から「国民のみなさまへ」という文書で出されました(防災庁「事前防災徹底のための緊急要請」)。発表の前には、細野豪志防災担当大臣が10月26日の番組で考えを示し(FNNプライムオンライン)、10月28日には総理官邸での面会後に方針を語り(テレビ朝日系ANN)、10月29日にはXで説明しました(J-CASTニュース)。
| 項目 | 正式な文章の内容 |
|---|---|
| いつ | 11月2日(防災庁の発足初日) |
| だれに | 国民・都道府県(市町村の分を含む)・政府の各府省庁 |
| 国民に求めること | 水・食料・携帯用トイレなどを最低3日間、できれば1週間分。飲み水は食事に使う分も含めて1人1日3リットル。ティッシュやトイレットペーパーなどの生活用品も |
| そのほかに挙がった備え | 耐震診断・耐震化・家具の固定、ハザードマップと避難場所・避難経路の確認、非常持ち出し品の準備、防災訓練への参加 |
| きっかけ | 千島海溝地震・日本海溝地震・首都直下地震・南海トラフ地震・富士山噴火などの大きな災害への備え。災害の予知情報がきっかけではない、と大臣が説明 |
都道府県と各府省庁にも要請が出され、年末に進み具合を報告することになっています。国民への要請は「防災に関する世論調査」などで確かめるとされています。つまり家庭だけでなく、国と自治体もいっしょに備えを見直す呼びかけです。
なぜ備蓄を求めるの?「3日分」の理由
大臣の説明は2つです。ひとつは、大きな災害の初めのうちは、公的な支援だけでは対応しきれない場合があること。もうひとつは、自分で用意できる人が備えておけば、障害のある方や高齢の方など、本当に支援が必要な人に備蓄品を優先できることです。
「自分で自分を支えられる人が増えれば、本当に支援が必要な人に絞れる」という大臣の言葉が、この要請の中身をよく表しています。備えることは自分の家族のためであり、同時に、助けが必要な人に物資を回すことにもなります。
なお、ネットには「11月2日に地震が起きる」といった話も見られますが、そうした根拠は確かめられません。日付と災害を結びつける情報は、うのみにしないでください。
家族の人数別|3日分・1週間分の早見表
計算のもとにしたのは公的な目安です。水は飲み水と調理用を合わせて1人1日3リットル(農林水産省)、トイレは1人1日5回で1週間35回分(経済産業省)、食事は1日3食で数えました。
▼ 3日分(まずここまで)
| 人数 | 水 | 食事 | 携帯トイレ |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9L | 9食 | 15回分 |
| 2人 | 18L | 18食 | 30回分 |
| 3人 | 27L | 27食 | 45回分 |
| 4人 | 36L | 36食 | 60回分 |
| 5人 | 45L | 45食 | 75回分 |
▼ 1週間分(できればここまで)
| 人数 | 水 | 食事 | 携帯トイレ |
|---|---|---|---|
| 1人 | 21L | 21食 | 35回分 |
| 2人 | 42L | 42食 | 70回分 |
| 3人 | 63L | 63食 | 105回分 |
| 4人 | 84L | 84食 | 140回分 |
| 5人 | 105L | 105食 | 175回分 |
水は2Lペットボトルの6本入りの箱(12L)で考えると分かりやすいです。4人家族なら3日分で3箱、1週間分で7箱です。
この表の水は飲み水と調理用だけです。歯みがきや手洗いの分は別に要ります。その分まで含めた数字と、カセットボンベや現金まで含めた計算は、こちらの記事にまとめています。
関連記事【元消防士が計算】家族3人・4人の防災備蓄量|水・食料・トイレの必要日数を具体解説
84リットルは無理だよ……。今から全部そろえないとダメ?
いきなり全部は必要ありません。まず3日分を目標にして、そこから少しずつ増やせば十分です。大事なのは、自分の家の数字を知ることです。
買いに走る前に|家にある物を数える15分
最初にやるのは買い物ではなく、数えることです。ふだんの食べ物や飲み物も、立派な備えです。次の順で確かめて、紙に書き出してください。
- 水:家にあるペットボトルを全部足す(お茶や炭酸水も飲める分として数えます)
- 食事:米・パスタ・乾麺・レトルト・缶詰・カップ麺を「何食分あるか」で数える
- 火:カセットコンロはあるか、ボンベは何本あるか
- トイレ:携帯トイレ・非常用トイレが何回分あるか(0回分なら、最初に足す物です)
- 代わりがきかない物:ミルク、おむつ、薬、介護用品が何日分あるか
- 期限:賞味期限と使用期限を見て、切れそうな物から食べる
米やパスタは水と火が要ります。だから「水」「火」「食べ物」はセットで数えるのがコツです。書き出した数を早見表と比べれば、足りない物だけが見えてきます。
買い占めはしない|高くなっている時は急がない
足りない物が分かっても、一度に大量に買う必要はありません。理由は3つあります。
- この要請の目的は、支援が必要な人に物資を回せるようにすることです。売り場から物が消えれば、赤ちゃんや高齢の方がいる家に届かなくなります
- まとめて買った食品は、期限が同じ時期に切れます。ふだんの買い物で少し多めに買い、古い物から食べて足すほうが無駄になりません(ローリングストック)
- 今は値段が上がったり売り切れたりしている商品があります。私が11月1日に確かめた楽天の例では、非常用トイレの「Life Reach 100回分」が売り切れで、8月に約6,000円だった表示が7,999円になっていました。普段より高いと感じたら、待って大丈夫です
足りない物はどの順で足す?
順番はトイレ→水→食事をおすすめします。食事は家にある物で数日もたせやすい一方、トイレは家にある物で代わりにしにくいからです。大きな地震のあとは、断水していなくても排水管が傷んでいて、水を流せない場合があります。
① トイレ(代わりにしにくい物から)
▼ 2026年11月1日に楽天の在庫を確かめた商品です
BOS 非常用トイレ 50回分(メーカー直販)|5,500円・送料無料
臭いをおさえる防臭袋「BOS」のセットで15年保存。4人家族(1日20回)なら2日半分です。2人家族なら5日分になります。
何回分が何日もつかの逆引き表と、選び方はこちらです。
関連記事非常用トイレは何回分必要?4人家族は1週間140回分|100回分が何日もつかも元消防士が計算
② 水
ふだんスーパーで買う2Lの水で十分です。長く置くなら5年保存の水もあります。
③ 食事と火
まずは、ふだん食べているレトルトや缶詰、カップ麺を少し多めに買うだけで大丈夫です。お湯を沸かせるよう、カセットコンロとボンベも確かめてください。ボンベは1本で強火約1時間が目安で(コンロ別の時間はこちら)、農林水産省の目安は1人1週間で約6本です。
関連記事カセットボンベの備蓄は何本?4人家族で28本|消防法・保管場所も元消防士が解説
水・食料以外に挙げられた5つの備え
今回の呼びかけは、備蓄だけではありません。お金をかけずにできることが多いので、今週末にひとつ進めてください。
- 家具の固定:正式な文章は「固定していない家具は必ず倒れると思ってください」と書いています。寝室の背の高い家具から固定し、寝ている間に倒れてくる物をなくします
- 耐震診断:昭和56年以前に建てられた家は、耐震診断を受けるよう書かれています。費用が大きいときは、寝室やリビングなど一部だけでも安全にする考え方も示されています。補助の制度は、お住まいの市区町村の窓口で確かめます
- ハザードマップと避難所の確認:ハザードマップポータルサイトで自宅と職場の住所を調べます。揺れやすさマップや津波ハザードマップも見て、避難場所と避難経路を家族で決めます
- 非常用持ち出し品:すぐ必要になる物、ないと困る物をリュックなどに入れ、玄関など持ち出しやすい場所に置きます
- 防災訓練への参加:地域の訓練で、避難、安否確認、炊き出し、簡易トイレの使い方を体験します。近所の人と助け合える関係づくりも呼びかけられています
関連記事防災リュック中身チェックリスト|元消防士が教える一次・二次の違い
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赤ちゃん・高齢の家族・持病のある家族がいる場合
表の数字は、すべての家庭に当てはまるわけではありません。ミルク、おむつ、薬、介護用品のように代わりがきかない物は、水や食料より先に確かめてください。小さなお子さん、高齢の方、妊娠中の方はトイレの回数も多くなるので、計算より1〜2割多めに見てください。
電気で動く医療機器を使っている家族がいる場合は、要請の3点だけでは足りません。冬の停電も含めて、こちらを読んでください。
関連記事停電・災害で赤ちゃんのミルクはどうする?元消防士パパが教えるお湯の確保と液体ミルクの備え
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緊急要請についてよくある質問
Q. 11月2日に何か災害が起きるのですか?
起きるという根拠は確かめられません。大臣は「地震などの災害の予知情報が入っていることを契機とするものではありません」と説明しています。
Q. 従わないと罰則はありますか?
11月2日の正式な文章は「要請」で、家庭への義務や罰則は書かれていません。国は「防災に関する世論調査」などで、取り組みが進んでいるかを確かめるとしています。
Q. 3日分と1週間分、どちらを目指せばいいですか?
まず3日分です。そろったら、ふだんの買い物で1週間分へ増やしてください。4人家族なら3日分は水36L・36食・トイレ60回分です。
Q. 非常食を買わないとダメですか?
いいえ。ふだん食べている米、麺、レトルト、缶詰も備えになります。使った分を買い足せば、期限切れも防げます。ただし水と火が要る物は、水とカセットコンロもいっしょに数えてください。
Q. ポータブル電源も必要ですか?
今回の要請で挙げられているのは水・食料・携帯トイレです。電気はその次の備えです。まずこの3つをそろえてください。
まとめ|今夜は「数える」だけでいい
- 緊急要請は災害の予告ではなく、防災庁の発足に合わせた呼びかけ
- 目安は水・食料・携帯トイレを少なくとも3日分、できれば1週間分
- 4人家族なら3日分で水36L・36食・トイレ60回分
- 買いに走る前に家にある物を数える。足りない分だけ、ふだんの買い物で足す
備えは、一度に完ぺきにしなくて大丈夫です。私も読者のみなさんと同じで、ひとつずつ進めていきます。今夜、家の水と食べ物を数えるところから、いっしょに始めましょう。
備えずに後悔するな。備えてから後悔しろ。
それではっ!