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「実家のあたりで停電、って速報が出た。親は大丈夫だろうか」——離れて暮らしていると、電話が繋がるまでの時間が長く感じます。真冬なら、なおさらです。
正直に言うと、これは私自身の宿題です。私の実家の暖房はエアコンだけで、停電した瞬間に暖房はゼロになります。そして、私が2年使っているポータブル電源DELTA 2を、親にはまだ渡せていません。この記事は、元消防士・救急救命士として20年、低体温症の知識を現場で学んできた私が、「離れて暮らす親の家が冬に停電したら、息子・娘に何ができるか」を、自分の実家を例に整理したものです。
▶ この記事の結論(元救急救命士)
- 高齢の親は寒さを感じにくく、体温を作る力も弱い。しかも「大丈夫」と言う。冬の停電で危ないのは、本人の自覚より先に体温が下がることです
- 停電したら電話で伝えるのは5つ。①部屋を1つに絞る ②重ね着と帽子 ③石油ストーブは換気と就寝時オフ ④ブレーカーを落とす ⑤電話が繋がらないときは171
- 親の家に置く電源の主役は電気毛布+ポータブル電源。DELTA 2で電気毛布(弱)は計算上1枚約33時間、電気ストーブは約50分
- 親が持ち家なら、家そのものに蓄電池を備える選択肢も現実的。停電しても暖房が止まりません
- 備えは「親に任せる」のではなく、息子・娘が買って置いてくる。私も今年の冬までにそうします
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※この記事は、元救急救命士としての一般的な救命の知識をもとにした「備えの考え方」です。持病のある方の体調判断は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
親に電話して「寒くない?」って聞けばいいんじゃないの?
それが落とし穴です。高齢の方は寒さを感じにくく、体が冷えていても「大丈夫」と答えます。聞くのではなく、やることを具体的に伝える。これが電話でできる一番の備えです。
なぜ高齢の親は「冬の停電」に弱いのか
同じ停電でも、30代の自分と70代の親では、体の中で起きることが違います。理由は3つです。
① 寒さを感じにくい
年齢を重ねると、皮膚の温度を感じる働きが鈍くなります。部屋が冷えていても「そんなに寒くない」と感じてしまい、暖を取る行動が遅れます。冬の停電で怖いのは、本人の自覚より先に体温が下がることです。
② 体温を作る力が弱い
筋肉の量が減ると、体の中で熱を作る力も弱くなります。若い人なら震えて熱を作れる場面でも、高齢の方は体温が下がりやすくなります。医学的には深部体温が35℃を下回った状態を低体温症と呼びますが、家庭に深部体温計はありません。「手足だけでなく、体の中心(胸やお腹)が冷たい」「ぐったりして反応が鈍い」「ろれつが回らない」——このサインがあれば119番です。
③ 持病・薬・そして「電話が繋がらない」
血圧の薬や心臓の薬を飲んでいる方は、寒さの影響を受けやすくなります。在宅酸素や医療機器を使っている方は、電気が止まること自体が命に関わります(在宅酸素療法中に停電したら)。さらに大きな災害では、電話が繋がりにくくなります。「電話で様子を聞けばいい」が成り立たない前提で備えるのが、離れて暮らす家族の現実です。
✕ 親の家の冬の停電でやってはいけないこと
締め切った部屋で石油ストーブやカセットガスストーブを使い続ける(一酸化炭素)/「暖まるまで」と車の中でエンジンをかけて過ごす/湯たんぽやカイロを肌に直接当てる(高齢の方は皮膚が薄く低温やけどになりやすい)/停電中に電気ストーブのスイッチを入れたまま寝る(復旧時の通電火災)。この4つは、寒さより先に命を奪います。
停電したら電話で伝える5つ(この順番で)
電話が繋がったら、「寒くない?」と聞くのではなく、やることを順番に伝えてください。全部で5分もかかりません。
1. いちばん小さい部屋に移って、窓から離れる
家全体を暖めるのは無理なので、寝室など小さい部屋に移ってもらいます。窓のそばは冷気が落ちてくるので、布団は窓から離します。カーテンは閉め、なければ毛布を窓にかけるだけでも違います。
2. 重ね着と帽子、そして布団に入る
「寒くないから」と言われても、上着を1枚足して、帽子と靴下をはいて、布団に入ってもらいます。頭は熱が逃げやすい場所です。動かずに座っているより、布団に入って体を包む方が体温を保てます。
3. 石油ストーブがあるなら、換気と「寝る前に消す」
電気のいらない石油ストーブは、停電では大きな味方です。ただし消防の立場で必ず伝えたいのは、1時間に1〜2回は窓を開ける、寝るときは必ず消すの2つです。締め切った部屋で使い続けると一酸化炭素がたまります。一酸化炭素は無色無臭で、気づいたときには動けません。
4. 電気ストーブやこたつのスイッチを切り、ブレーカーを落とす
停電中に電気ストーブのスイッチが入ったままだと、電気が戻った瞬間に周りの布団や洗濯物に火がつくことがあります。これが通電火災です。使っていた暖房器具のスイッチを切り、避難するならブレーカーを落とす。復旧したときの順番は通電火災の防ぎ方にまとめています。
5. 電話が繋がらないときは171、公衆電話は10円玉
大きな災害では携帯電話に発信規制がかかります。災害用伝言ダイヤル171に、親にも自分にも「無事」を残す約束をしておきます。公衆電話は災害時に優先されるので、親の財布に10円玉を入れておくのも備えです(災害時の現金と小銭はいくら?)。
5つも覚えてもらえるかな。うちの親、電話で言ってもすぐ忘れちゃうよ。
だから紙に書いて、冷蔵庫に貼っておくんです。停電したときに読む紙が1枚あるだけで、電話が繋がらなくても親は動けます。この記事の5つを、そのまま書き写してください。
親の家に置いておく電源|主役は暖房器具ではなく電気毛布
ここからが、私の宿題そのものです。エアコン暖房だけの家は、停電したら暖房がゼロになります。ポータブル電源があれば何が動くのかを、私が2年使っているDELTA 2(1,024Wh)を例に整理します。
| 暖房器具 | 消費電力の目安 | DELTA 2での目安 |
|---|---|---|
| 電気毛布(弱) | 20〜30W | 1枚で約33時間(2枚でも約16時間) |
| 電気毛布(強) | 40〜60W | 約14〜20時間 |
| セラミックヒーター・電気ストーブ | 約1,000W | 約50分 |
| こたつ(弱) | 100〜200W | 約4〜8時間 |
※目安の出し方は「1,024Wh×0.8÷消費電力」。機種や気温で変わります。15機器の一覧はDELTA 2で動く家電まとめで。
電気ストーブは1時間もちません。電気毛布なら、弱で使えば一晩どころか翌日の夜まで届きます。親の家に置くなら、暖房器具ではなく「電気毛布+ポータブル電源」の組み合わせが正解です。私は車中泊で、DELTA 2に電気毛布をつないで何度も冬の夜を過ごしてきました。家の停電でも同じ組み合わせがそのまま使えます。
高齢の親に渡すときの3つの注意
- 重さ:DELTA 2は約12kgあります。親に持ち運ばせる前提ではなく、寝室の決まった場所に置きっぱなしにします。コンセントに挿しておけば普段は充電され、停電した瞬間に使えます
- 使い方は1つだけ教える:「電気毛布のプラグをここに挿して、このボタンを押す」。それ以外は教えません。紙に書いて本体に貼ります
- 電気毛布は肌に直接ではなく布団の中に:高齢の方は皮膚が薄く、低温やけどになりやすいので、弱で使い、布団の上や敷き毛布として使います
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親が持ち家なら:停電しても暖房が止まらない家という選択肢
ポータブル電源は「一晩を持ちこたえる手段」です。親が持ち家の戸建てに住んでいて、冬の停電が数日続く可能性のある地域なら、家そのものに太陽光発電と蓄電池を備えるという根本的な選択肢があります。停電時に蓄電池へ切り替えれば、昼に発電した電気を夜にも使えます(切り替えが自動か手動かは機種によります)。数十万〜百万円台の投資になるので全員には勧めませんが、親の家の「電気が止まらない」は、離れて暮らす子どもにとって一番の安心です。
対象となる方(先に確認してください)
- 親の家が東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬(東京ガスの提供エリア)
- 1981年以降に着工された持ち家の戸建て
該当する方は、東京ガスが無料相談・見積もりを受け付けています。賃貸や集合住宅の場合は対象外なので、上の「電気毛布+ポータブル電源」を固めてください。
→ 東京ガスの太陽光発電・蓄電池を見る
(無料相談・見積もり)![]()
関東以外にお住まいの方へ
東京ガスは関東の提供エリア限定です。それ以外の地域で同じことを検討するなら、全国の施工店から相見積もりを取れるタイナビがあります。入口で「太陽光(+蓄電池)」と「蓄電池のみ」を選べるので、停電対策だけが目的なら「蓄電池のみ」で構いません。
先に言っておきます。太陽光パネルだけでは、停電の夜は電気を使えません。発電するのは日射のある時間だけだからです。夜もしのぐなら蓄電池が要ります。賃貸・集合住宅の方は、この箱を飛ばしてポータブル電源の話に戻ってください。
※見積もり依頼には氏名・住所・電話番号・メールアドレスの入力が必要で、複数の施工店から連絡が来ます。連絡が来ても構わない方だけどうぞ。
※提供条件は2026年9月時点でプログラム情報を確認したものです。エリア・物件条件の詳細はリンク先でご確認ください。
冬が来る前に、息子・娘が「置いてくる」もの
親に「備えておいてね」と言っても、備えは進みません。子どもが買って、持って行って、置いてくる。これが離れて暮らす家族の備えの形です。私も今年の冬までに、実家に置いてくるつもりの物を挙げます。
- 電気毛布+ポータブル電源:寝室に置きっぱなし。使い方は紙1枚
- 停電したときに読む紙:上の5つを書いて冷蔵庫に貼る。171の使い方も
- 電池式の温湿度計:寝室に1つ。「寒いか」ではなく「何度か」で判断できるようにする
- ヘッドライト:懐中電灯より両手が空く。枕元に
- カセットコンロとボンベ:温かい飲み物と食事は体温を守る。本数の目安はカセットボンベの備蓄本数で
- 薬のリストと、かかりつけ医の連絡先:財布に入る大きさで。避難したときに一番困るのが薬です
- 10円玉と千円札:公衆電話と、停電で釣り銭が出ない店のために
停電が長引くと、ポータブル電源だけでは足りません。数日続く停電への備え方はDELTA 2で動く家電まとめにまとめています。
離れて暮らす親の停電についてよくある質問
Q. 親が「大丈夫」と言うので安心していいですか?
A. 安心できません。高齢の方は寒さを感じにくく、体が冷えていても「大丈夫」と答えます。「寒くない?」ではなく、「上着を1枚着て、帽子をかぶって、布団に入って」と、やることを伝えてください。
Q. 石油ストーブがあれば停電でも大丈夫ですか?
A. 暖を取る点では大きな味方です。ただし1時間に1〜2回の換気と、寝るときに必ず消すことが条件です。締め切った部屋で使い続けると一酸化炭素がたまります。
Q. 高齢の親にポータブル電源は扱えますか?
A. 使い方を1つだけにすれば扱えます。「電気毛布のプラグを挿して、このボタンを押す」だけを紙に書いて本体に貼ります。本体は持ち運ばせず、寝室に置きっぱなしにします。
Q. 電気ストーブをポータブル電源で使えませんか?
A. 動きますが、約1,000Wの電気ストーブはDELTA 2(1,024Wh)で約50分しかもちません。電気毛布(弱で20〜30W)なら1枚約33時間です。停電の夜は電気毛布に切り替えてください。
Q. どうなったら救急車を呼ぶべきですか?
A. 手足だけでなく胸やお腹まで冷たい、ぐったりして反応が鈍い、ろれつが回らない——この状態なら119番です。救急車を待つ間は、毛布で包み、大人の体温で温めます。急に熱いお風呂に入れるのは避けてください。
まとめ:親の家の停電は「電話で聞く」ではなく「置いてくる」で守る
- 高齢の親は寒さを感じにくく、体温を作る力が弱く、「大丈夫」と言う
- 停電したら電話で5つ:部屋を1つに/重ね着と帽子/石油ストーブは換気と就寝時オフ/ブレーカーを落とす/171
- 親の家の電源は電気毛布+ポータブル電源。DELTA 2で電気毛布(弱)は1枚約33時間、電気ストーブは約50分
- 持ち家なら蓄電池という根本策もある
- 備えは親に任せず、子どもが買って置いてくる。私も今年の冬までに実家に置いてきます
親は「心配かけたくない」から「大丈夫」と言います。その言葉を信じるのではなく、先に置いてくる。離れて暮らす私たちにできる備えは、それだけです。まずは今週、停電したときに読む紙を1枚書いて、実家に送ることから始めてください。
それではっ!